緑の地球ネットワーク

なんのための緑化?
砂漠化ときくと、日本の私たちはすぐ、「さあ、緑化だ!」となります。でも、大同で活動するなかで、だんだんわかってきました。砂漠が砂漠であるのには理由があり、砂漠化が進むのにも原因があります。砂漠化を防ぐためには、その原因をなくすか、軽減するしかないのです。そこから、さまざまなことがみえてきました。

▼水土流失が砂漠化を招く?
夏の雨が水土流失を引き起こします。中国政府の発表では、1年間に黄河に流れ込む土の量は16億トンで、その80%が黄土高原の土。この土で幅1m、高さ1mの堤防を築くと、その延長は赤道27周にもなります。畑や山の表土が失われると、土地がやせ、作物や植物が育たなくなります。それが黄土高原における砂漠化です。

sen (sen)
日本人の奥村彰さんが、こんな字をつくりました。これで「sen」です。木があるから、水と土が守られ、はぐくまれます。木がなくなると、水も土もなくなってしまいます。そして、木は、水と土のうえになりたちます。水と土が失われたところで、木を植えるのは、困難なことです。この文字は、環境は壊してはいけない、いったん壊してしまうとその再生はたいへんむずかしいことを教えています。

▼環境破壊と貧困の悪循環
どこまでもつづく段々畑。最初にこれをみたとき、中国の農民の偉大さを感じました。でも、見方を変えれば、信じられないほどの環境破壊でもあります。土がやせ、収穫が少ないために、畑を広げます。農耕で不足するぶんを補うため、ヒツジやヤギの放牧がつづきます。そのために森林や草地が失われる。森林が失われると、雨によって土が流されて、砂漠化がすすむ。環境破壊と貧困の悪循環です。緑化に求められるのは、この悪循環を絶つことです。